第63回日本聴覚医学会総会・学術講演会

会長挨拶

第63回日本聴覚医学会総会・学術講演会
会長 内藤 泰
神戸市立医療センター中央市民病院
副院長・耳鼻咽喉科部長

 第63回日本聴覚医学会総会・学術講演会が平成30年10月17日から19日に神戸市のポートアイランドで開催されます。伝統ある本学会を担当させていただけることは大変光栄であり、本学会の役員ならび会員各位に厚く御礼を申し上げます。また、市中病院が本会を主催するのは大阪鉄道病院の志多亨先生が、昭和50年に第20回を担当されて以来2回目、43年ぶりであり責任の大きさに気を引き締めております。

 当院は大正13年に「市立神戸診療所」として病床数25床、耳鼻咽喉科を含む6診療科で始まり、その後、昭和3年に市立神戸市民病院、昭和25年に神戸市立中央市民病院、平成19年に現在の「神戸市立医療センター中央市民病院」という名称になっています。平成21年からは運営が神戸市から地方独立行政法人神戸市立市民病院機構に移管され、平成23年にポートアイランド2期地区に医療クラスターの臨床的中核施設として新築移転し、現在に至っています。

 本学会は聴覚とその障害に関する研究の進歩と発展を図ることを目的としており、従来から総会・学術講演会の前年に主題を指定して聴覚医学が取り組むべき課題と方向性を示してきました。今学会から主題の周知期間がさらに長くなりましたので、十分な準備の下に行われた充実した研究成果が発表されることと期待いたしております。今学会の主題は以下の2題です。
主題1は「超高齢社会における聴覚医学の課題と使命」です。超高齢社会となった本邦において聴覚医学が何を求められ、その専門性を通じてどのような貢献ができるか、1.聴覚の末梢あるいは中枢における加齢変化の評価、2.高齢者の難聴に対する補聴器や人工内耳による補償の有用性と問題点、3.認知機能低下を伴う難聴高齢者の聴覚補償、4.高齢者の介護における聴覚医学的介入の意義、などについて議論します。主題1では内容に応じて演題をいくつかの群に分け、全体として、この主題に関する重層的な理解を深めたいと考えております。
主題2は「小児および成人人工内耳のマッピングとリハビリテーションの体系化」としました。人工内耳のマッピングは機器メーカーが示す方法に準拠するのが通常で、全体を俯瞰する体系的な考え方や手法は確立していません。リハビリテーションについても、多くは地域の医療機関と教育機関が経験に基づいて行っており、体系化が遅れています。マッピングとリハビリテーションの標準的手法や体系化について議論し、本邦の様々な地域や施設において適切に人工内耳医療が行われることを目指したいと思います。

 神戸は北に六甲山があり、中心部は三宮や北野坂の繁華街、中華街、港、南にポートアイランドと空港があり、美食の町でもあります。ポートアイランド内ではジョギングコースや神戸市立スポーツセンタープールなど運動環境も充実しています。学術活動の合間には運動、街の散策や食事などもお楽しみいただければと思っております。

 現在、今学会を学術と会員親睦の両面において会員の期待に応える充実した内容にするべく、当科の総力を挙げて準備に取り組んでおります。会員の皆様には、奮ってご参加くださいますようお願い申し上げます。

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